原稿大募集中『謎解きホームルーム』応募するみなさまへ応援メッセージ

のんびり日記

2020年12月に発売され、即重版決定のアンソロジー『謎解きホームルーム』。
日本児童文芸家協会ではその続編に掲載する原稿を募集しています。
(締め切りは2021年3月15日)

そこで今回は応募しようと思っている方へ、
『謎解きホームルーム』に参加し、普段『ラストで君は「まさか!」という』シリーズでショートショートと悪戦苦闘している私から、ちょっとした短編のアドバイス(っていうほどのものでもないですけど)をお送りします。

ちなみに私は、第一弾の編集にも、続編の選考にも一切かかわっておりません。ここに書いてあるのは一個人の感想です。参考程度にお読みくださいね。

意外に短い!

募集されている文章量は17字×14行×17ぺージで8800字ほど。
張り切って大掛かりな本格的ミステリーを展開しようと意気込むと入りきらないです。
間違っても十角形の洋館など登場させないようにしましょう。
それを二行で説明できるならいいですけど。

・舞台は簡単な説明で誰もが想像できる場所。
・登場人物は極限まで減らす。

これ短編・ショートショートの基本です。
めずらしいもの、は極力入れないほうがいいですね。

描写の装飾などに筆が乗って「気づくと脱線している」というのも危険。本筋に関係なところで行を食ってしまうと、短編では命取りになります。

決められた分量に収まったとしても、短編・ショートショートはポンポンポンと展開するリズムが大切です。
本筋に関わらない部分は全て消しましょう。

とくにミステリーの場合、よけいな描写があると「ヒントかな?」と思ってしまうので注意が必要です。

はみ出したら詰める!

というわけで、書き上げたものの「はみ出てしまった」なんてこともあるでしょう。
そういうときは詰めましょう。

短編・ショートショートートではこの「詰め詰め作業」が必須です。
長編でも章がわりやイラストの位置が決まったあとに、行の増減が発生した場合は、「この2ページ以内で1行減らす、1行増やす」という作業が発生します。

一番のターゲットは、
*******************************************
た。
*******************************************
と、1文字で終わっている行です。
これ系を狩りつくすのです。
前の行の言葉をあれこれ入れかえて、一文字減らします。
ちなみに本になるときは、言葉を入れかえなくても字間の幅を詰めるとかいう魔法を編集さんが使って、1文字を前の行へ入れこんでくれることがあります。

次はセリフ。
*******************************************
石田の頭にちくわが二本乗っている。
「石田君どうしたの、それ?」
*******************************************
というところ、
*******************************************
「石田君、頭にちくわが二本乗ってるよ、どうしたの?」
*******************************************
という風に、地の文も短いセリフに入れ込んでしまい、1行減らします。

芝居の台本でこういう説明セリフを書くと役者さんに嫌われるのですが、そこは割り切りましょう。
「今は戯曲を書いてるんじゃないんだよ!」と自分に言い聞かせます。

ナチュラルな会話をウリにしているあなたも!
短編・ショートショートの時はリズミカルな展開を優先するため、説明セリフを愛用しちゃってください。

『ラストで君が「まさか!」と言う』シリーズの初稿では、だいたい10行くらいまでのはみ出しなら、これらの作業で詰め込みます。
それ以上多いと根本的な部分、構成等を見直しています。

解決編にもボリュームを

この本は「事件編」と「解決編」の2部構成になっています。
募集要項によると「2:1」くらいの割合です。

多少前後してもいいはずですが、解決編が半ページ、などというのはよろしくないと思うので、ショートショートに見られる「ラスト数行で犯人が判明して一気にオチる」系は使えません。

時々「探偵がもったいぶってしゃべる謎解きシーンが好きではない」という人がいますが、そういう人も今回はがんばってもったいぶっちゃってください。

自信をもって!

書いていると自信がなくなってきて「自分なんてダメだ」と思うこともあるでしょう。他の人がみんな自分よりデキる人に見えてくるでしょう。

でも大丈夫、ライバルはたいしたことない(!?)かもしれません。

これは創作コンクールつばさ賞の一次審査を担当して知ったことなんですが、コンクールや原稿募集の場合、「内容以前の問題で選外となる作品が意外と多い」です。

・なぜかエッセイ
・お話か終わっていない
・グレードがあっていない

といったものが、あります。本当にあります。
次に、物語の形になっていたとして、

・最後に出てきた人がいいとこ全部持っていっちゃう
・主人公が何もしない(周りが動いて終わる)

などは残念ながらボツになります。
ですので小学生が主人公で、その子が「謎に出会い、ヒントを探し、ヒントを元に考えて、答えを出す」ことができれば、それだけでいい線行くはずです。

今回は大賞1つ、なんて狭き門ではありません。
もし大量に良い作品が集まれば、自動的に第4弾、第5弾の発売が決定するでしょう。ですからこれは他者との戦いなのではなく、自分との戦いと言えるのではないでしょうか(たぶん)!!

締め切りまで一か月ちょっとあります。
応募しようか迷っている方は、ぜひ挑戦してくださいね。
ちなみに応募は日本児童文芸家協会の正会員、研究会員に限られています。
これを機に入会しようと思われた方は協会Webサイトへどうぞ!
日本児童文芸家協会はこちら