児童文芸・日本児童文学合同掌編募集 両方で選んでいただいたお礼のごあいさつ

お知らせ

「児童文芸 冬号」と「日本児童文学 1・2月号」は両協会史上初のコラボ特集です。
両理事長の対談が前後編に別れて掲載されていたり、それぞれの協会の略年表が載っていたり、見どころ満載なのですが、その特集企画の一つ「『時間』をテーマにした合同掌編募集」で、私の応募した作品を両方の編集部さまに選んでいただきました!
編集部のみなさま、ありがとうございます。

この合同掌編募集は掌編を募集して、集まった作品をそれぞれの編集部が別々に数編ずつ選び、それぞれの雑誌に掲載する、というもの。
児童文芸では優秀賞、日本児童文学では入選作、という表記になっており、私の作品「いつか駆けよう」が、児童文芸で優秀賞3作のうち1作として、日本児童文学で入選作3作のうち1作として、両方の雑誌に掲載されました。

めっちゃ入選したかった!!

私のデビューのきっかけは児童文芸家協会の創作コンクールつばさ賞ですが、最初に自分の原稿を掲載してもらったのは日本児童文学で、デビュー前は関西センターさんでたくさん勉強させてもらったので、この企画のチラシを見たとき、

「絶対絶対入選したい!!!」

と思いました。もうめっちゃめっちゃ頑張ろう!!って決意したんです。
そして頑張りました! その結果、両方で選んでいただけて本当にうれしいです。
この気合いが伝わったに違いない!というか気合いだけで選んいただいたと言っても過言ではない気がします!

「日本児童文学 2017年 1・2月」の「新人登場」コーナーに出させてもらったとき、あいさつ文に「二度目の登場」というタイトルをつけたんですが、三度目の登場でとうとう表紙に名前を載せていただきました! わーい大出世だ! ありがとうございますっ!!!!!

勝手に総括

それぞれの編集部が別々に選ぶという性質上、全体を語る場がないようなので(?)、勝手に総括しちゃいます。それぞれ片方の雑誌しか見てない方もいらっしゃるでしょうしね。

応募総数は81編。
児童文芸で1次選考を通過したのは18作品、
日本児童文学で1次選考を通過したのは14作品、
両方で1次を通過したのは7作品でした。

※応募者でもし片方の雑誌しかみていない方がいらっしゃったら、もう一冊も確認したほうがいいですよ!!お名前が載っているかも!

入選作を見てみると、児童文芸の方は3作とも現代ではない世界が舞台となっていて、日本児童文学の方は私以外は現代が舞台です。
なかなか興味深いですね。こういうところに両協会の違いが現れるのかしら?

意外にタイムマシンや複数回タイムリープものがなかったですね。多いかと思って避けたんですが。
応募作になかったのか、選ばれなかったのか。指定された文字数も少ないので、タイムマシンなんて出したら説明だけで終わってしまいそう?

余談ですが、本当に別々に審査されていて、別々に連絡がきたので「両方で選ばれたこと」を理解するのに日数を要しました。
最初に日本児童文学さんから連絡がきて、数週間後に児童文芸からゲラが届いて、「あれ?どっちに載るんだろう? ゲラが来たってことは児童文芸?」と思って聞いてみたら、児童文芸の編集委員さんが「それは両方で選ばれたんじゃないですか?」っておっしゃって、「え! うそ! ほんとに?」と驚いたんですが、確証は得られず、日本児童文学さんのゲラが届くまで、微妙にうれしいような、喜び過ぎてもダメなような複雑な気分でした。

応募作について。作戦を練り、迷走する!

絶対入選したいと思って応募にあたり、作戦を練りました。
1.記念企画であること
2.複数編選ばれること(1位を狙わなくていい)
3.強者ぞろいだろうこと
これらを考慮し「粗削りだけれど意欲的な作品」でひょろっと入選作に紛れ込むが一番自分に合ってる気がして、なのでとにかく「目先の変わったもの」を書こうと決めました。

ちょうど、先月出た『No.1感動 歴史をひもとく お姫様の伝記物語』の初稿が終わった頃だったので、最初は歴史ものでいこうかと思いました。「時間といえば備中大返しかなあ」なんて考えて(単純やな)、いろいろ本を読んでみて面白かったんですけど、あれって本質的には「速く戻って来ること」より「速く正しい情報を得ること」ほうが重要だったんですね。
となると、信長が討たれたという一報を届ける方が大事な仕事で、それを書く? 地味に終わらへん? ひとまず書いてみるか……と書き始めたんですが、10行くらいで「こりゃどう考えても収まらないな」と気づいてやめました。

次に学校恋愛ものを書いてみました。こっちは規定行数内におさまりましたが、びっくりするくらい面白くなかったです。もうストーリー覚えてない。
どんどん時間は過ぎていく。「時間との戦いやな」と思って、ふと文字通り「秒」とか「分」と戦闘する話を書こうかと思ってみたんですが……自分でも何を言っているのかよく分かりません。

焦って「こりゃあかん、初心にかえろう」ということで愛読書を読み直すことにしました。

別冊ニュートン「時間とは何か」。

ここで「うるう秒」の記事を読んで、うるう秒廃止のニュースを思いだして、いろいろ考えてみて、そして完成したのが「いつか駆けよう」です。
本当はミスった所など白状するつもりでしたが、日本児童文学さんの選評で問題点を指摘され、言い訳になるのもよくないので内容についてはふれません。
直接私に会う機会があれば、いろいろツッコミ入れてやってください。

私の好きなSF

私の脳と魂(?)に刻み込まれているのは、
・星新一のショートショート
・藤子・F・不二雄のSF短編シリーズ
このふたつです。10代の頃ほんとむさぼるように読みました。
10代に読んだものって一生頭から離れないですね。

大人になってからは……ハヤカワのSF短編アンソロジーは大好きですし、有名な長編もちょいちょい読んでいるかと思いますが、特に好きなSF作品といえば、なんだろう? 内容は全然違いますけど、『薫香のカナピウム』(上田早夕里)、『新世界より』(貴志祐介)、『博物館惑星』シリーズ(菅浩江)の緑多めの世界観が好きかな。「緑多め」でカテゴライズしていいのかな。
児童書YAだと、『No.6』(あさのあつこ)、『少年Nの長い長い旅』&『少年Nのいない世界』(石川宏千花)が大好きです。『火星のライオン』(ジェニファー・L・ホルム)も面白かったです!

私の書いたSF

児童文芸の選評で姉妹編かと言われたお話の入っている『感動文庫』、感動する物語のアンソロジーです。特に意識して書いたわけではなくて(書いてる時は仕上げるのに必死ですからね)、出来上がってから、確かに自分でも似てるなあとは思いました。
「あたらしい旅」少年がひとりで宇宙を旅するお話です。

『ラストで君は「まさか!」という』シリーズで何編かSFを書いていますが、「時間」にかぎると

一番最初に商業出版されたのは、ラス君第二段「時のはざま」のサブタイトルにもなりました「時のはざま」です。これはタヌキみたいな悪魔が魔界の逸品をくれると言うお話ですが、このタヌキ気に入って、その後タヌキ悪魔2編書きました。

こちらもラス君「時空をこえて」。時空に関するお話を4編書いていて、上記のタヌキ悪魔もでてきます。

時間に関するお話で、自分でも気にいっているのがこちらアンソロジー『脱出クラブ』に収録されている「時のよどみ」です。良かったらぜひ読んでください。
「自分がこんな目にあったらイヤやなあ」って心底思ったんですよね。ストーリーの展開を考えるというより、「自分がこの状況から抜け出すためにはどうすればいいか」って抜け出す方法を必死に考えているうちに完成しました。作者というより登場メンバーのひとりになったみたいで、そういう感覚がはじめてで、とても記憶に残っている作品です。

改めまして。
両協会初のコラボレーション特集という大変晴れがましい号で、同じ作品を両雑誌に掲載していただくという栄誉にあずかりましたこと、心より光栄に存じます。
選考してくださったみなさま、本当にありがとうございました。

これをはげみに一層の努力を続けてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。